社長、社内恋愛は禁止のはずですが
心の奥がきゅっと掴まれる。

「私も、寂しい時は直哉さんを思っています。」

勇気を出して告げると、彼は「遥香」と名前を呼んで、両腕でぎゅっと私を抱きしめた。

香水の香りと心臓の鼓動が混じり合って、心まで満たされていくようだった。

「一緒に暮らそうか。」

「えっ⁉」

私は驚いて、直哉さんの方を見た。

「もちろん、無理にとは言わない。ただ……」

直哉さんは、私の手を強く握った。

「一人で過ごす夜がもう耐えられないんだ。遥香が隣にいてくれれば、それだけで安心できる。」

胸がドクンと高鳴った。私なんかでいいの?

御曹司で、誰もが羨む社長が、私なんかと――。

「私……でいいんですか?」

かすれた声で聞くと、直哉さんは迷いなく頷いた。

「君しか考えられない。遥香、俺の家に来てくれ。」
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