社長、社内恋愛は禁止のはずですが
ラウンジの光が柔らかく二人を包み込む。

嬉しさで涙が滲んで、声にならない。

直哉さんはそんな私を抱き寄せ、耳元で囁いた。

「俺の隣に、ずっといてほしい。」

――ああ、こんなに愛されている。

胸がいっぱいになって、私は小さく「はい」と答えた。

直ぐに引っ越しをして、もし合わなかったら。

直哉さんの家を飛び出しても、自分の家がない。

そんな事を考えると、今住んでる部屋を急に解約することはできなかった。

私は数日分の荷物を段ボールに詰めた。

これなら、しばらく直哉さんの家に泊まっても暮らしていける。

段ボールは直哉さんが車で運んでくれた。

黒の高級車が、私のマンションの前に停まる。

すれ違う人皆、高級車を振り返っていた。

「荷物これだけ?」
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