社長、社内恋愛は禁止のはずですが
直哉さんは段ボールを、後ろの席に詰めた。

「とりあえず。」

それでも段ボール3箱分だ。

直哉さんは、運転席に座ると財布からカードを出した。

艶のあるブラックカード。

「足りないものは全部買って。遠慮するな。」

「だ、大丈夫です!自分で買えますから!」

私は慌てて首を振る。

すると直哉さんはクスッと笑い、カードを引っ込めて私の髪を撫でた。

「そういうところ、可愛いよな。無理やりでも俺に頼ってほしいのに。」

そのまま抱き締められて、胸の奥から温かいものが溢れてくる。

段ボール3箱の引っ越し準備は、私の小さな一歩のはずなのに。

――直哉さんと一緒なら、どんな未来でも歩いていける気がした。

直哉さんの部屋に入ると、広々としたリビングに私の段ボールがちょこんと並んだ。
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