社長、社内恋愛は禁止のはずですが
「いつもデリバリーだからな。家庭料理なんて浮かばないな。」

御曹司らしい言葉に思わず笑ってしまう。

これから一緒に暮らすとなると、きっとこうした家庭料理が増えていくのだろう。

私と直哉さんの食卓。

考えただけで胸が温かくなる。

「直哉さんのお母さんは、どんなものを作っていたんですか。」

私が尋ねると、直哉さんは少し遠くを見るようにして答えた。

「母も仕事をしていて忙しかったから、俺の家シェフがいたんだ。」

「シェフ⁉」

思わず声が大きくなる。毎日一流料理人にご飯を作って貰っていたなんて……

まさに御曹司。庶民の私からすれば想像もつかない世界だ。

「でも、その中で肉じゃがだけは、おふくろが作ってくれたかな。」

直哉さんが少し懐かしそうに笑う。
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