社長、社内恋愛は禁止のはずですが
「……付き合ってたんでしょ。」

言葉にしてしまった瞬間、胸が張り裂けそうになった。

直哉さんは黙ったまま、何も否定しない。その沈黙が余計に私を苦しめる。

「答えてください。」

思わず震える声が出る。

直哉さんはゆっくりと近づいてきて、私の肩を抱いた。

「若い頃の話だよ。今は遥香だけじゃないか。」

真剣な瞳でそう言うと、直哉さんは私の唇にキスを落とした。

甘く深い口づけに心臓が震える。

「何を言われても、無視しろ。俺が愛しているのは、遥香だけだよ。」

低く熱を帯びた声に、胸の奥がぎゅっと掴まれる。

「直哉さん……」

私は堪えきれずに彼の胸に抱きついた。

この温もりは私だけのもの。そう思っても、心の底に残る嫉妬の影は拭えない。
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