社長、社内恋愛は禁止のはずですが
「何かあったら、言ってね。」

「はい。」

返事は、喉から自動的に出る。

心では反発しているのに、口から出るのは「はい」ばかり。

「直哉の事は、あなたよりも私の方が分かってるんだから。」

その一言に、胸の奥で何かが弾けた。

イラッとした。

――何が分かるっていうんですか。

言葉が突き出すように口をついて出ていた。

「何?」

篠宮部長の目が鋭く光り、まるで心の奥まで切り裂かれるように感じた。

「少なくても、今の直哉さんを一番知っているのは、この私です。」

精一杯、声を震わせないようにした。知っている――そう口にした瞬間、胸に鋭い痛みが走る。

もし本当に知っているのなら、これ以上踏み込まないでほしい。

直哉さんを浸食されたくない。

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