社長、社内恋愛は禁止のはずですが
彼の熱に包まれ、息が詰まりそうなのに、もっと欲しくなる自分がいた。

「俺は遥香を守りたい。」

その言葉に、胸の奥まで甘い震えが走る。

「直哉さん……」

思わず縋るように名前を呼んでいた。

「澄玲に言うから、社長室で待っていてくれ。」

彼の瞳には迷いがなかった。

私はうんと頷くしかなくて――次の瞬間、直哉さんは毅然とした足取りでオフィスへ戻っていった。

社長室に入ると、広い空間がやけに静かに感じられる。

革張りのソファに腰を下ろしても、落ち着かない。

胸の鼓動が早すぎて、自分の心臓の音が響いているようだった。

しばらくすると、扉が開く音がして。

篠宮部長と直哉さんが、並んで社長室に入って来た。

二人の姿を目にした瞬間、空気が一変した。

――逃げ場のない、決着の場が始まる。
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