社長、社内恋愛は禁止のはずですが
「でも、澄玲。俺たちは終わっているんだ。」

直哉さんの言葉は冷静で、けれど揺るぎない強さを帯びていた。

「直哉っ!」

篠宮部長が身を乗り出し、今にも彼に近づこうとする。

だが直哉さんが手を上げて制した。

その仕草に、彼女の動きがぴたりと止まる。

「今は、遥香が俺の大切な人だ。」

低く響くその声に、胸が震えた。

会社の中で、こんなはっきり言い切ってくれるなんて――。

「そんなっ……」

篠宮部長の顔が苦悶に歪む。

「一緒に暮らしている。結婚も視野に入れている。」

直哉さんの告白は、まるで宣言のように響き渡った。

思わず私は彼の横顔を見つめる。

そこに迷いはなく、ただ真剣に私を選んでいる瞳だけがあった。

篠宮部長は、悔しそうに唇を噛み締める。

その音さえ聞こえる気がした。
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