社長、社内恋愛は禁止のはずですが
「篠宮部長が言ってたぞ。――社長は“あの女”に溺れてる、ってな。」

「……!」

目を大きく見開いた。

――分かったわ。

篠宮部長……全然、わかってないじゃない。

私がどんな想いで直哉さんと向き合っているのか……!

怒りと悲しみが胸に渦巻く。

言い返したいのに、言葉が喉で絡まり、声にならない。

その時だった。

「どうした?」

背後から聞き慣れた低い声。

振り返れば、直哉さんが戻ってきていた。

彼の視線が私に注がれた瞬間、一気に社内の雰囲気が変わる。

そこへ、岸本さんが一歩前に出た。

鋭い視線で直哉さんを見据え、その声がオフィス中に響き渡る。

「社長、水城さんと……付き合っているんですか。」

空気が凍りついた。

誰もが息を呑み、目を逸らせずにいる。
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