社長、社内恋愛は禁止のはずですが
直哉さんは、静かに、しかしはっきりと言い切った。

「ああ、そうだが。――何か問題でも?」

「っ……!」

岸本さんの肩がわなわなと震え始めた。

押し殺していた感情が、今にも爆発しそうに見えた。

「社長、社内恋愛はしないって……仰ったじゃないですか!」

その叫びは、悲鳴にも似ていた。

周囲の社員がざわつき、私の胸に冷たいものが走る。

直哉さんは、一瞬だけ目を細めると、冷ややかに言葉を返した。

「君は、そうでも言わない限り――俺を諦めなかっただろ。」

「……!」

岸本さんの顔から血の気が引いていく。

その瞬間、社内に隠されていた“もう一つの真実”が露わになった。

私は息を詰めた。

――直哉さん、そんな理由で……。

岸本さんは体を震わせながら声を張り上げた。

「社長、水城さんを……一週間の謹慎処分にしてください!」
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