社長、社内恋愛は禁止のはずですが
ここ数日、掃除や洗濯、料理をして、買い物にも行って……まるで自分が主婦になったみたいだと思った。

「でも、私……なんだか主婦みたいになっちゃって、魅力半減だよね。」

照れ隠しのようにハハハと笑うと、直哉さんは耳元に顔を寄せて、低い声で囁いた。

「そんなことない。」

短い言葉なのに、体の奥まで響く。

「遥香が俺のために生きてくれているみたいで……嬉しいんだ。」

その声に、心臓が大きく跳ねた。

主婦みたい、なんて卑下していた自分が恥ずかしい。

私がするどんな小さなことも、直哉さんはちゃんと見ていて、喜んでくれている。

「直哉さん……」

抱きしめられる温もりが愛しくて、私も強く腕を回した。

こんな日常の一瞬さえも、二人にとっては特別な幸せになるのだと思った。
< 200 / 273 >

この作品をシェア

pagetop