社長、社内恋愛は禁止のはずですが
そして私たちは、予約していたレストランに到着した。

落ち着いた灯りとクラシックの流れる空間に案内され、席に着く。

「ご予約ありがとうございます。こちらのコースでお間違いないでしょうか。」

「はい。」

そう頷くと、直哉さんが横で少し嬉しそうに微笑んだ。

その仕草に胸が温かくなる。

視線が自然と彼の腕に移った。

昨日一緒に選んだお揃いのロレックスが、彼のスーツにしっくり馴染んでいた。

「やっぱり、その時計……スーツに似合いますね。」

そう言うと直哉さんは、少し照れたように笑った。

「ありがとう。遥香が選んでくれたんだから、当然だよ。」

私の手元の小ぶりなピンクフェイスも、彼のネイビーの文字盤とぴたりと寄り添っているようで、胸がじんとする。

二人だけの秘密が形になったようで、言葉以上に強く結ばれている気がした。

料理が運ばれてくるまでの短い間も、直哉さんは穏やかに私を見つめ続ける。
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