社長、社内恋愛は禁止のはずですが
料理が運ばれてきてからも、私はつい直哉さんから目を離せなかった。

フォークを手に取る仕草さえ、誕生日の特別な夜には一層魅力的に見える。

たまりかねた直哉さんが、困ったように眉を下げて言った。

「遥香、俺を見つめすぎ。」

ぼっと顔が赤くなる。

「だって、今日は直哉さんの誕生日だから……」

自分でも訳の分からない言い訳に、直哉さんは吹き出すようにクスクス笑った。

「遥香は、本当俺のこと好きだよね。」

その声音には、呆れよりも嬉しさが滲んでいて、胸がじんと熱くなる。

私は頬をふくらませながら、思わず口を尖らせた。

「直哉さんの方が、私のこと好きです。」

挑むような言葉に、直哉さんは目を細めて見つめ返してきた。

「そうかな?俺の方が遥香に夢中なのは確かだけど……君がそう言うと、もっと好きになる。」

その言葉に心臓が大きく跳ねる。

グラス越しに映る二人の時計の輝きが重なり合って、まるで「ずっと一緒にいろ」と囁かれているようで、胸の奥まで温かさで満たされていった。
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