社長、社内恋愛は禁止のはずですが
「えっと……それは部長が言ってること?」

確か岸本さんは、私と同じ平社員のはず。

どうしてそんな権限あるような口ぶりを。

「いえ、私の見解です。」

きっぱりと返されて、私は思わずきょとんとした。

「岸本さんの見解……?」

「私、今度主任になるので。今のうちから知っててください。」

さらりと告げられた言葉に、胸がざわついた。

確かに彼女は仕事ができて、周囲からの信頼も厚い。

人望もあり、見た目も華やか。

だからこそ――主任に昇進するのも納得できる。

「……あっ、そうなんだ。おめでとう。」

笑顔を作ってそう告げると、岸本さんはふわりと微笑んだ。

けれどその笑みの奥に、どこか含みのある影が見えた気がして――胸の奥が小さくざわめいた。

「それと、社長のことですけど。」

「えっ……」

思わず顔を上げると、岸本さんはじっと私を見つめていた。
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