社長、社内恋愛は禁止のはずですが
核心を突いてくる。

「私はね、甘やかして欲しくて社長と一緒にいるんじゃない。」

思わず強い声になった。

「むしろ、社長が本気で厳しくしてくれるからこそ、私も本気で向き合えるんだよ。」

胸の奥に溜まっていた想いを吐き出した瞬間、弥生の表情がわずかに緩んだ。

「……そう。やっぱり遥香だね。」

ふっと笑ってくれる。

その一言が、背中を押してくれたようで、少しだけ心が軽くなる。

私は机の上の企画資料に視線を落とした。

直哉さんがくれる厳しさも、愛情の裏返しだと分かっている。

だから私は、この試練を絶対に乗り越える。

彼の隣に立つために。

月曜日、私は直哉さんと共に相手先の会社に訪れた。

磨き上げられた会議室には重役たちがずらりと並び、空気が一層張り詰める。

「遥香。何かあったら、すぐに俺を呼んでいいから。」
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