社長、社内恋愛は禁止のはずですが
直哉さんの低い声が、私を支えてくれた。

大きな舞台に立つのは初めて。けれど、彼の隣にいるだけで心は強くなる。

深呼吸をして前に立つと、私の視線を一斉に受けた。

鼓動は速くなるけれど、足取りはしっかりと前へ進む。

「本日はお集まり頂きまして、誠にありがとうございます。プレゼンテーションを担当いたします、水城遥香です。」

声に震えはない。

相手の目を見て語りかけること、相手の反応を逃さないこと。

直哉さんに教わったすべてを、胸の奥で繰り返した。

そう、私が彼から学んだのは資料の扱い方だけではなかった。

自分の企画に誇りを持つこと、そして挑む者としての自信。

その想いが、今の私を支えている。

スライドを切り替えるたびに、相手の反応を確かめながら言葉を重ねる。
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