社長、社内恋愛は禁止のはずですが
最初は硬かった空気が、少しずつ柔らかくなっていくのを肌で感じた。

「こちらをご覧ください。」

リモコンを押すと、スクリーンに映し出されたのは、これまで私達が携わってきた取引先の人々の笑顔だった。

南條が持ち込んだ漁港の案件も、その中にしっかりと刻まれている。

漁師たちの誇らしい表情や、商品を手にしたお客さんの笑顔。

ひとつひとつの瞬間がスライドに映し出されるたび、胸がじーんと熱くなる。

これまでの努力が確かに形になっているのだと実感した。

その時だった。

「水城?」

直哉さんの低い声が飛んできた。

はっと我に返る。思わずスライドを見つめすぎて、話が中断してしまっていたのだ。

「申し訳ございません。」

私は一礼してから、素直な気持ちを口にした。

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