社長、社内恋愛は禁止のはずですが
「取締役社長」とある。

ひゃあ……私、社長と余談してていいの!? 頭の中で警鐘が鳴る。

焦って隣に視線を送ると、直哉さんが微妙に唇を押さえて、笑いを堪えていた。

——完全に、私が予断を楽しんでいるのを面白がっている顔だ。

胸の奥がじんと熱くなりながらも、私は姿勢を正し、再びスライドに意識を戻した。

そして私は緊張で震える手を必死に抑えながら、次の資料へとページをめくり続けた。

言葉に詰まりそうになっても、直哉さんから教え込まれた“自信を持て”という声が心の中で響いてくる。

その支えに背中を押され、気がつけば最後のスライドに辿り着いていた。

「ご清聴、ありがとうございました。」

深々と頭を下げる。

会議室に一瞬の静寂が訪れ、次の瞬間、力強い拍手が響き渡った。

胸が熱くなり、涙が出そうになる。


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