社長、社内恋愛は禁止のはずですが
「夢じゃない。もう全部現実だ。遥香は俺の婚約者だよ。」

その言葉だけで、頬がまた熱くなる。

フォークを手にして料理を口に運ぶと、ふわっと香草の香りが広がった。

「美味しい……」

思わず声が漏れる。

すると直哉さんが、じっと私を見つめていた。

「料理よりも、遥香の幸せそうな顔の方が美味しそうだ。」

「もう……からかわないでください。」

けれど、私の胸はじんわりと温かく満たされていった。

大切な人と未来を誓い合ったこの夜、どんな料理よりも特別な味がした。

食後のデザートを楽しんだあと、私達は席を立った。

大きな窓の外に広がる夜景を背に、直哉さんはさりげなく私の手を取る。

レストランを出る時、スタッフに「おめでとうございます」と声をかけられ、指輪がきらりと光った。胸がまた熱くなる。



< 258 / 273 >

この作品をシェア

pagetop