社長、社内恋愛は禁止のはずですが
エレベーターに乗ると、直哉さんが私を抱き寄せた。

「まだ信じられない?」

「はい……夢みたいで。」

「夢なら、絶対に覚めない夢にしてやる。」

低い声が耳元に響き、鼓動が一気に早まった。

部屋のドアを開けると、そこには落ち着いた色調のスイートルームが広がっていた。

夜景を望む大きな窓、ふかふかのベッド、ほのかな花の香り。

すべてが特別な夜を彩る舞台のようだった。

「ここからは……婚約者じゃなく、俺の愛する女としての時間だ。」

そう言って直哉さんが私を振り返る。

もう逃げられない、けれど逃げたいなんて思わない。

私は静かに頷き、彼の胸へ飛び込んだ。

「遥香。」

名前を呼ばれるだけで、胸が高鳴る。

ワインの余韻と、彼の体温が混ざり合い、甘い眩暈がする。

「俺、さっき言ったこと……本気だから。」
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