社長、社内恋愛は禁止のはずですが
胸が締めつけられる。自分の案件を最後まで見届けたい――その想いすら、許されないのだろうか。

けれど、西野部長はふっと表情を緩めた。

「……でも、水城の気持ちは分からないでもないわ。」

意外な言葉に、思わず顔を上げる。

西野部長は初めて、私に向かってにこりと笑った。

「高峰社長。水城を主任にするのはどうでしょう。」

「主任に?」

驚きに目を見開く私をよそに、部長は落ち着いた声で続けた。

「でしたら、今持っている案件も他の人に任せることができますし、水城がアドバイスする形で責任を果たすこともできます。」

「……なるほどな。」

高峰社長はふっと笑みを浮かべ、組んだ腕を解いた。

その目が、一瞬だけ私を見つめる。

――試されている。けれど同時に、確かに認められつつある。

胸の奥が熱く震えていた。
< 39 / 273 >

この作品をシェア

pagetop