社長、社内恋愛は禁止のはずですが
「分かった。水城、いいね。」

「……はい。」

胸の奥で複雑な思いが渦巻く。

本当は、岸本さんと同じ主任という役職は嫌だった。

派閥のようなものができて、ややこしくなる気がしたから。

けれど――それで社長案件に携われるのなら、迷う理由はなかった。

「水城。じゃあ、改めてこのプロジェクト……お願いするよ。」

「はいっ!」

差し出された社長の手を握り返す。

力強いその手に、不安よりも期待が膨らんでいった。

翌日。
企画部の全員が集められ、社長が壇上に立った。

「今回の新規プロジェクト、成功すれば我が社にとって大きな取引先となる。皆も、心してかかるように。」

「はいっ!」

一斉に声が上がり、室内の空気が引き締まる。

そして――いよいよリーダーの発表が告げられる瞬間が訪れた。
< 40 / 273 >

この作品をシェア

pagetop