社長、社内恋愛は禁止のはずですが
誰もが固唾を飲んで見守る中、社長の視線がゆっくりと私のほうへと向けられた。

「プロジェクトリーダーには――水城遥香を指名する。」

社長の声が響いた瞬間、会議室にざわめきが広がった。

「水城は既に、主任に昇進することが決まっている。」

さらに重ねられた言葉に、皆の驚きは隠せない。

特に岸本さんの硬直した表情が目に入り、胸の奥がひやりとした。

「そこで、水城が今持っている案件を、皆で手分けして進めてほしい。」

そう告げられ、私は立ち上がった。

「……皆さんのご協力、お願いします。」

深々と頭を下げる。

しばしの沈黙のあと、控えめながら拍手が起こり、少しずつその輪が広がった。

胸の奥の不安が、少しだけ解けていくのを感じた。

発表が終わると同時に、誰よりも早く声をかけてくれたのは南條だった。
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