社長、社内恋愛は禁止のはずですが
「大切な同期です。」

そう言うと、社長の視線がさらに鋭くなる。

「……大切って、どのくらい?」

思わず一歩、後ずさった。どうしてそこまで踏み込むの?

「……社長?」

問い返そうとしたとき、ふいに彼が目を伏せた。

「……ごめん。君から“ヒーローだ”って言われてから、目が離せなくて。」

「えっ……」

耳の奥まで熱くなる。言葉が出なかった。

社長は自嘲するように小さく笑う。

「おかしいよな。……ごめん。」

その声があまりに不器用で、胸がきゅっと締めつけられた。

「そうだ。プロジェクトの件、打ち合わせしないと。」

「はい。」

私は一旦デスクに戻り、ノートを抱えて再び社長の元へ向かった。

「気合い入っているね。」

「社長と同じ熱量で仕事しないと。」

笑みを返しながら椅子を借り、社長の正面に座る。
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