社長、社内恋愛は禁止のはずですが
「まずは相手先のことだが――」

高峰社長が差し出した資料に目を走らせる。

言葉ひとつひとつに熱がこもり、その説明だけで、相手企業がどれほど大きく、影響力を持つ存在かが理解できた。

「このプロジェクトは、相手先にとっても挑戦的なものになる。」

低く落ち着いた声が会議室に響く。

“挑戦的”――つまり、成功すれば大きな飛躍になるが、失敗すれば信頼を失いかねない。

――自社の命運を賭けたプロジェクト。

だからこそ、これは“社長案件”なのだ。

高峰社長が自ら背負い、そして私に託した理由が分かった気がした。

胸の奥が熱くなる。

――絶対に、成功させたい。

そう強く心に誓った。

打ち合わせの最後に、高峰社長は私に微笑みかけた。

「どうだ? ワクワクするだろう。」

「はい。前向きな案しか出てきません。」
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