社長、社内恋愛は禁止のはずですが
「だったら任せなさいよ。私が他の案件をしっかり回してあげるから。」

その言葉に、胸がじんと温かくなる。

――仲間に支えられている。だから私は、社長の期待に必ず応えてみせる。

心の奥で、強い決意が芽生えていた。

その日、私は残業して南條の新規案件を仕上げようとしていた。

気づけば、もうフロアには誰もいない。

静まり返ったオフィスに、私だけ。

「はぁーあ……」

ため息をつきながら資料を見直す。

南條が魚を抱えて笑っている写真が添付されていた。

――漁港の小さな会社。

南條が何度も足を運んで手伝い、ようやく仕事を任された相手だと聞いた。

「なんか、南條っぽいな。」

そう呟いた瞬間だった。

パチン、と蛍光灯のスイッチが入る音が響く。

まぶしい光に思わず振り返ると、そこに立っていたのは――。
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