社長、社内恋愛は禁止のはずですが
「すみません、私……」

眠ってしまったことを謝ると、彼はゆっくりこちらを振り返った。

「いいんだ。疲れてたんだろう。」

その声音は驚くほど優しかった。

慌てて口元を拭きながら呟く。

「えっと……私、家の場所、まだ言ってなかったですよね。」

すると社長の視線が真っ直ぐに私を射抜いた。

夜の静けさに、心臓の鼓動だけが響く――。

「あのさ。この近くに俺の別荘があるんだ。」

「えっ!」

思わず声が裏返る。――別荘⁉ さすが御曹司……。

「……来る?」

短い問いかけに、鼓動が跳ねる。

確かに今日は週末。泊まっても誰も知らない。

けれど――家に泊まるということは、その、抱かれても文句は言えないってことで……。

ぎゅっと目を瞑った瞬間、温かい手が私の手を包んだ。
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