社長、社内恋愛は禁止のはずですが
「素敵なお宅ですね……」

リビングの大きな窓の向こうには、夜の海が広がっている。

波音を聞きながら、ここで恋人と過ごすのだろうか――そんな想像をして、胸が締めつけられた。

「いつも……彼女を連れてきてるんですか?」

勇気を出して尋ねると、社長は驚いたように眉を動かした。

返事をする代わりにワインを一口飲み、そのままソファーに身を預ける。

ラフに寝そべる姿は、どこか酔っているようにも見える。

その姿を見つめながら、胸の奥がチクリと痛んだ。

――私なんて、ただの一社員なのに。

だけど、今だけは。どうしても知りたい。

「どう思う?」

ふっと笑った高峰社長の言葉に、胸の奥がざわつく。

「……まさか、一度も連れてきたことがないなんて、嘘ですよ。」

視線を逸らしながら呟くと――。
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