社長、社内恋愛は禁止のはずですが
「そうだな。ここまでくればあと少しだ。」

画面を見つめていた高峰社長が、ふと背後に気配を感じて顔を上げた。

「君も残業か。」

「はい。この案件……俺が彼女に頼んだので。」

南條が気まずそうに答える。

社長は一瞬考え込み、それから低く告げた。

「君はもう帰っていい。」

「えっ?」

「俺が後は見ておくから。」

「でも……」

「――俺が彼女を見守るから。」

静かな声に、南條の目がハッと見開かれる。

一瞬の沈黙のあと、彼は肩をすくめて小さく笑った。

「じゃあ、お願いします。」

そう言い残して、デスクを離れていった。

――ええっ⁉ 何に気づいたの、南條!

心臓が喉までせり上がる。

残されたのは、私と高峰社長だけ。

「あと残っているのは、何ページ?」

「……三ページです」
緊張で声が震える。
< 68 / 273 >

この作品をシェア

pagetop