社長、社内恋愛は禁止のはずですが
駐車場から出発した車は、しばらく夜の街を走り抜けた。

「今日は真っ直ぐ帰った方がいいか。」

ちらりと視線を投げかける社長に、私は小さく首を振る。

「……ドライブなら、付き合ってもいいです。」

「OK。」

その返事と同時に、車は滑るように加速した。

辿り着いたのは、海を見下ろす高台。

窓の外には、月明かりに照らされてきらめく水面が広がっていた。

「すごく……綺麗。」

思わず見とれて呟く。

その瞬間、肩を引き寄せられた。

「綺麗なのは、遥香の方だよ。」

「えっ……」

耳に届いた甘い声。心臓が大きく跳ねる。

――今、名前で呼んだ?“遥香”。

頭が真っ白になる。

近づく横顔、熱を帯びた吐息。

触れそうな距離まで迫った唇に、視線が釘付けになった。
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