社長、社内恋愛は禁止のはずですが
「……綺麗だよ。遥香のイッた顔。すごく綺麗だった。」

耳元で囁かれ、顔から火が出そうになる。

「そんなこと……言わないでください……」

涙のように滲む羞恥と、胸を満たす幸福感。

もう社長の顔を見ることなんてできなかった。

それからずっと、社長の腕に抱きしめられていた。

ぴたりと寄せられた体温と、静かに響く鼓動。

外からは遠くに波の音が届き、まるで世界に二人しかいないような感覚だった。

「社長……帰らなくていいんですか?」

恐る恐る時計を見れば、もう日付が変わっている。

「このままずっと、抱きしめていたい。」

耳元に落ちた囁きに、胸がドキンと跳ねた。

心臓が早鐘のように鳴って、息まで苦しくなる。

けれど次の瞬間、社長は小さく笑って体を起こした。

「でも……明日も仕事だからな。」
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