社長、社内恋愛は禁止のはずですが
さらりとそう言う社長に「……了解です」と返すけれど、胸の奥はざわめきが止まらなかった。

――だってそうだ。高峰社長みたいなイケメン、誰もが放っておくはずない。

その時だった。背後から澄んだ声が響く。

「ねえ、直哉さん。今度デートしましょうよ。」

振り返ると、豪華なドレスを着た令嬢が、当たり前のように直哉の腕に手を絡めてきていた。

私は思わず、息を呑んだ。

「ダメよ。直哉さんは、私とデートするんだから。」

「嫌よ、今度は私よ。」

あっという間に数人の女性が高峰社長を取り囲んだ。

きらびやかなドレスに身を包み、明らかにお嬢様育ちの人ばかり。

その華やかさに私は完全に飲み込まれてしまった。

――私が隣に立っているのに、まるで透明人間みたい。

何のガードにもなってないじゃない!
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