社長、社内恋愛は禁止のはずですが
「皆、ごめんね。俺には連れがいるから。」

にこやかにそう言った直哉に、女性たちの口から揃って「ええー!」という不満の声が上がる。

まるで信じられないといった様子。

(……やっぱり、私は視界に入っていないんだ)

胸の奥がチクリと痛んだ、その瞬間。

ぐいっと腕を引かれた。

「遥香、行こう。」

高峰社長が、皆の前で私を抱き寄せた。

温かい体温と低い声が耳元に届く。

信じられない思いで見上げると、彼の瞳には私しか映っていなかった。

けれど、御曹司である高峰社長にはどうしても断れない相手もいた。

業界の重鎮と呼ばれるような方々が、次々と社長のもとへやって来るのだ。

「直哉君はまだ独身だろう?ぜひ紹介したい人がいるんだ」

知人の令嬢を勧めてくる人。
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