社長、社内恋愛は禁止のはずですが
胸が締め付けられる。

きっと私がいなくても、この人の隣にはこうして相応しい女性がいくらでも現れる。

私はグラスを強く握りしめたまま、もう視線を上げることができなかった。

その時、乾いた咳ばらいが響いた。

顔を上げると、みどりさんの父親が鋭い視線をこちらに向けていた。

――つまり、「おまえは邪魔だ、どこかへ行け」ということだろう。

私は小さく一礼して、静かに背を向けた。

その瞬間、ぐいっと腕を捕まれる。

「遥香。」

振り返ると、高峰社長の真剣な眼差しが私を捉えていた。

「直哉君?そちらのお嬢さんは?」

父親が不快そうに眉をひそめる。

けれど社長は、堂々としていた。

「僕のパートナーです。」

「――なっ⁉」

お父さんの顔色がみるみる赤く変わっていく。
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