社長、社内恋愛は禁止のはずですが
「実は――パートナーを連れて来るのは、遥香が初めてなんだ。」

「えっ……」

思わず息を呑んで振り向いた。

私が……初めてのパートナー?

「今までは秘書しか連れて来てなかったから、皆さんもその気でいたんだろ。ごめんな。」

直哉は申し訳なさそうに笑った。

「そ、そんな……謝らないでください」

胸の奥が熱くなる。

だって今まで誰も隣に立たせなかった社長が、初めて私を選んでくれた。

それだけで、場違いだと思っていた気持ちが少しずつ溶けていく。

夜風に髪を揺らしながら、私は涙をこらえて微笑んだ。

――社長の隣に立ててよかった。心の底からそう思えた。

そして、私たちがバルコニーにいるとも知らずに、室内からは噂話が飛び交っていた。

「聞いた? 直哉さんの隣にいる女、秘書じゃなくてパートナーなんですって。」

「ええっ⁉ あんな地味な女が⁉」
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