本日、仕事のために愛されママになります～敏腕社長は契約妻への独占愛を手加減しない～【愛され最強ヒロインシリーズ】

　莉乃の起業を知った父は、『結婚もせず仕事なんてけしからん！　お見合いをして家庭に入ってもらう！』と断固反対。それは人生で最も盛大な親子喧嘩だった。

　結果、三十歳までに結婚できない場合は会社を畳むという約束を無理やり交わせられたのだ。
　そんな約束を守る必要はないと言う友人もいたが、亡くなった母の言葉が頭を過り、反故にできずにいる。


　「一年……それだけあればなんとかなるわ」
　「仕事が恋人だった姉貴が一年で結婚？」


　航希が目を丸くする。薄らと笑みを浮かべているのは無理だと高を括っているのだろう。
　そんな態度をされると余計に挑戦意欲が湧いてくる。


　「大丈夫よ」


　言葉には魂が宿るもの。会社を軌道に乗せた自分になら、絶対にできる。

　（……と信じたい！）

　ほんの少しばかり神頼みだ。心の中で手を合わせる。


　「まぁ、会社を畳むことになっても、俺が姉貴を養ってやるよ。心配するな」