本日、仕事のために愛されママになります~敏腕社長は契約妻への独占愛を手加減しない~【愛され最強ヒロインシリーズ】
 青葉はチラッと莉乃を見て微笑む。望を祖父母に預ける不安と寂しさが、束の間紛れる気がした。

 おしゃれな店が軒を連ねる街のコインパーキングに車を止め、青葉と揃って降りる。目指すは、莉乃御用達のセレクトショップである。

 二十代後半から三十代の女性にとても人気があり、最近は一画にキッズ向けの商品も取り扱っている。
 歩きだした莉乃は、不意に青葉に手を取られた。


 「デートなら、こうするのが自然だよな」


 驚いているうちに強く握られる。一拍遅れて、心臓が早鐘を打ちはじめた。
 もっと濃厚なスキンシップは先に経験しているのに、手を繋いだだけで心が弾む。人が行き交う街が華やかに目に映るのは、休日だからという理由ばかりではない。思いがけず訪れた青葉との時間が、莉乃を浮足立たせる。

 (望くんがいないのは寂しいけど、せっかくだから青葉さんとの時間を楽しもう)

 お目当ての店の前まで来ると、青葉が扉を押し開けた。瞬間、別世界へと足を踏み入れたかのような錯覚に包まれるのはいつものとおりだ。

 漆黒の大理石に映える間接照明が舞台のスポットライトのように商品を引き立て、艶やかなウッドとスチールが融合した棚には厳選されたトップスが整然と並んでいる。
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