本日、仕事のために愛されママになります~敏腕社長は契約妻への独占愛を手加減しない~【愛され最強ヒロインシリーズ】
 「ありがと」


 そう答えた由佳の声は軽やかだった。それに対して青葉は自然な表情で彼女を案内する。
 莉乃はわずかに遅れながら、ふたりの後ろについて歩きだした。

 (話ってなに? ……青葉さんとは友人以上の関係だって私に告発するとか? ううん、まさかね)

 ふたりはただの友人。そう自分に言い聞かせるが、自分の立ち位置が曖昧になったような気がして、そっとショッパーの持ち手を握りなおした。

 これは彼からのプレゼント。自分たちは夫婦。望という大切な存在をともに育てている。
 そのたしかな事実があるのに、由佳の登場で心が揺れる。そんな自分に戸惑いながら、莉乃は静かに玄関をくぐった。

 ここを何度か訪れたことがあるのか、由佳は躊躇いもなくリビングのソファに腰を下ろす。
 莉乃はキッチンでコーヒーを淹れ、彼女に出した。


 「突然ごめんなさいね、莉乃さん」
 「あ、いえ……。望くん、由佳さんに会えなくて残念がると思います」
 「このケーキ、望くんが帰ったら食べさせてあげてもらえる?」
 「もちろんです。ありがとうございました」
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