本日、仕事のために愛されママになります～敏腕社長は契約妻への独占愛を手加減しない～【愛され最強ヒロインシリーズ】

　「三十歳の誕生日までに結婚できなければ、ルナリアを畳まなきゃならないの」


　青葉は息を飲み、莉乃をじっと見つめた。


　「どういうことだ」


　低く発せられた問いに、莉乃は小さく息をつきながら言葉を続ける。


　「それが父との約束なの」


　莉乃は父との間に巻き起こったひと騒動を事細かに彼に話した。

　こうして人に話すと、父の発言は現代の価値観に逆行していると改めて痛感させられる。
　莉乃が話し終えると、青葉は静かにグラスを回し、考え込むように視線を落とした。


　「つまり結婚は、会社のためのものか」


　青葉に問われて深く頷く。
　仕事を通じて、青葉の考え方や決断を見てきた。冷静さや鋭さに今も助けられている。そんな彼となら、夫婦としてもうまくいくのではないか。
　彼との未来を思い描くと、不思議と不安はなかった。これまで共に歩んできた時間が、その確信を支えてくれている気がする。