船瀬さんの彼女、村井さん。




助けてほしいって投げやりなんじゃなくて、自分なりのやり方で、一緒に仕事ができる方法があるのか。



「ありがとうございます」



固くなりすぎていた。勝手に孤独になるように振る舞って、勝手に疎外感を醸し出して。船瀬さんも嫌がるわけだ。私から壁を作って、壁を作られたなんて悲しんでる場合じゃない。



少し前向きになれた。目の前のパソコンを立ち上げて、気合いを入れてキーボードを強く押す。


気づけばオフィスに人が溢れてきて賑やかさが増し、いつもの景色になってきた。



村井さんや船瀬さんも出社してきて、私は意を決して席を立つ。


私が近づいていることに気づかないのか、隣の席の人と笑顔で挨拶を交わしている。そして村井さんの近くで足を止めるとようやく私の気配に気づいて、隣の人に向けた笑顔がそのまま私にも向けられた。




「おはよう、押谷さん」


「おはよう。…あのさ」




力まずに、周りを巻き込むように…。




「昨日、どうだった?」


「…どう?楽しかったよ?」




巻き込もうとする直前で、昨日の船瀬さんとのことを思い出して、朝から変わった質問をしてしまった。


昨日のことは私の記憶でもあるけど、仮に村井さんにも感覚として残っていたら。私と村井さんが単に入れ替わっていただけだとしたら。


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