内部監査部室長は恋愛隠蔽体質です
回りくどい言い方をしても埒が明かない、か。単刀直入に言わなければと息をつく。
(はぁ、また負けん気が強いだの、歯に衣を着せないって思われるんだろうな)
「消防訓練をしている暇がないと申し上げてまーー」
「えぇ、伝わってます」
遮り、語気を強めて返答する室長。わたしの不満を上書きするみたいに冷たい、かつ低い声音。ただし周囲がビクつくほど恐れを覚えないのは眉毛が動いていないから。
向かい合い着席している中、彼は机上で両指を編む。そういえばパンプスを落としそうになった際に一瞬だけ触れたが、意外と温かかった。
「営業部が仕事を取ってこなければ収入源を得られないのは事実。ですが、それとこれは話が別ですので」
あえて皆に聞こえるボリュームで淡々と告げる。コンペに勝とうが負けようが関係なく、職務を全うするのが監査室の役目なのだろう。
「消防訓練以外は軽微な不備ばかり。改善に時間はそれほど掛からないでしょう。不満を並べ立てるより手を動かした方が早いですよ」
ここまでは聞き流せる。しかし、室長は余分な言葉を付け加えた。
「もしも監査対応でコンペの結果が左右されるのなら、それは日頃の準備不足かと。目標達成したいから業務の基本を疎かにするのは本末転倒では?」
(はぁ、また負けん気が強いだの、歯に衣を着せないって思われるんだろうな)
「消防訓練をしている暇がないと申し上げてまーー」
「えぇ、伝わってます」
遮り、語気を強めて返答する室長。わたしの不満を上書きするみたいに冷たい、かつ低い声音。ただし周囲がビクつくほど恐れを覚えないのは眉毛が動いていないから。
向かい合い着席している中、彼は机上で両指を編む。そういえばパンプスを落としそうになった際に一瞬だけ触れたが、意外と温かかった。
「営業部が仕事を取ってこなければ収入源を得られないのは事実。ですが、それとこれは話が別ですので」
あえて皆に聞こえるボリュームで淡々と告げる。コンペに勝とうが負けようが関係なく、職務を全うするのが監査室の役目なのだろう。
「消防訓練以外は軽微な不備ばかり。改善に時間はそれほど掛からないでしょう。不満を並べ立てるより手を動かした方が早いですよ」
ここまでは聞き流せる。しかし、室長は余分な言葉を付け加えた。
「もしも監査対応でコンペの結果が左右されるのなら、それは日頃の準備不足かと。目標達成したいから業務の基本を疎かにするのは本末転倒では?」