内部監査部室長は恋愛隠蔽体質です
「いやいや、そんなはずないよね」
 首を横に振り、会田君が居ない事に気付く。

「会田君は出社していないの?」
「みたいです」
 本来は彼こそが踏ん張りどころ、コンペ獲得を確固たるものにして貰いたい。しかしながら時間外労働の強制は出来ず、他の案件も抱えている状況下であまり無理はさせられない。
(会田君の仕事、フォローしておこうか)
 整理整頓が行き届いていると言い難いデスクから書類を何枚か引き抜く。積み上げられたこれらを崩さないテクニックは我ながら感心する。

 自分の席で書類のチェックを始めて暫くすると、会田君の影が視界へ伸びてきた。

「お、おはようございます〜課長。早いですね〜」
「おはよう」
「それ、俺のですか?」
 頷く。
「営業日報は溜めずに提出! 昨日の監査でも指摘を受けてるの」

 コンビニ袋を下げたままわたしの元へ直行してくる表情は焦りを隠せない。日々の業務内容を記す用紙は白紙に近く、出勤早々に注意したくないがこれは見過ごせなかった。

「ーーチッ」
 会田君から改める旨の言葉を待っていると舌打ちが聞こえる。聞き間違いかと思い顔を上げたら、彼の方は頭を下げた。

「すいませんでした、ちょっと立て込んでいて。未提出の分は本日中にやります」
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