内部監査部室長は恋愛隠蔽体質です
 実際、立て込んでいるのは事実。だけどスタイリングばっちりの後頭部、新発売のスイーツが透けた買い物袋から少なから余裕を感じてしまう。それに室長の彼女と会ったりしてーー
(いや、プライベートと仕事を切り離さないといけないな)

「はい。お願いしますね」
 違和感を巡らせ飲み込み、了承した。会田君は俯いたまま踵を返す。
 わたしに叱られたのを茶化す同僚と身振り手振りでやりとりする様子を眺めるうち、彼の腕時計の輝きに見開く。
(あの高級時計、榊原室長とお揃いだ)
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