内部監査部室長は恋愛隠蔽体質です
戸惑いに会田君は首を傾げる。
「どうしてって……監査で散々言われても、室長は浮気されそうな人と思ったら溜飲が下がりません?」
「別に下がらない」
わたしは即答していた。
「え、下がらないんですか〜! あちゃー失敗したなぁ。誰にもーー」
「言わない」
こちらもすぐさま頷く。なんなら聞かされた旨を忘れたいし、溜飲が下がるどころか正直気分が悪い。
「あまり言いたくないのだけれど、会田君、仕事とプライベートは分けて考えないと。ケジメをしっかりつけないと良くないよ」
「あはは、お小言いいたくないけど言っちゃいます〜? 歯に衣を着せぬ松村課長ですもんね〜」
そそくさと席を立つ会田君を呼び止めたりせず、黙って見送った。
さて、コンプライアンス遵守の榊原室長を正義マンと揶揄する彼はわたしにどんなあだ名を付けているのだろう?
ふと隣のテーブルで開きっぱなしの雑誌を見付ける。ちょうどタロット占いコーナで縫い留められており、蟹座の全体運が女帝であると記されていた。
「どうしてって……監査で散々言われても、室長は浮気されそうな人と思ったら溜飲が下がりません?」
「別に下がらない」
わたしは即答していた。
「え、下がらないんですか〜! あちゃー失敗したなぁ。誰にもーー」
「言わない」
こちらもすぐさま頷く。なんなら聞かされた旨を忘れたいし、溜飲が下がるどころか正直気分が悪い。
「あまり言いたくないのだけれど、会田君、仕事とプライベートは分けて考えないと。ケジメをしっかりつけないと良くないよ」
「あはは、お小言いいたくないけど言っちゃいます〜? 歯に衣を着せぬ松村課長ですもんね〜」
そそくさと席を立つ会田君を呼び止めたりせず、黙って見送った。
さて、コンプライアンス遵守の榊原室長を正義マンと揶揄する彼はわたしにどんなあだ名を付けているのだろう?
ふと隣のテーブルで開きっぱなしの雑誌を見付ける。ちょうどタロット占いコーナで縫い留められており、蟹座の全体運が女帝であると記されていた。