先生、迎えに来ました
帰りの人波が落ち着いたころを見計らって、二人は会場を後にした。
迎えの車との合流地点まで、のんびり歩く。

彼女は興奮冷めやらぬ様子で、先ほどの花火の感想を嬉しそうに話していた。

「いつ見ても花火はいいね。花火デートできて嬉しい」

高瀬は足を止めて彼女を見つめた。

「デート……」
「え、これってデートなんじゃ……」

自分が何気なく発した言葉が意味するところをようやく理解したのか、彼女はわかりやすく動揺した。
暗がりでよくわからないが、きっと顔が赤い。

「デートです」

高瀬は笑顔で力強く言うと、彼女に左手を差し出した。
今度は少し躊躇(ためら)う時間があったが、再び彼女はその手を取った。

手のひらが重なると同時に指を絡め、優しく握る。

彼女との関係は確実に変化している。それもいい方向に。
この手を離したくない、と高瀬は強く思った。
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