先生、迎えに来ました
8.結婚、する?
玄関のドアが閉まると、高瀬が鍵をかけた。
間髪入れず、ひまりを抱き寄せ唇を塞ぐ。
ひまりは鞄をおろし、高瀬の首に腕を回した。
キスがどんどん深くなっていく。
体から力が抜け、ひまりが立っていられなくなってきたとき、高瀬が尋ねた。
「僕の寝室、行きますか?」
目を合わせて頷くと、ひまりは高瀬の耳元でささやいた。
「敬語やめて……」
一拍おいて「わかった」と答えると、さらに高瀬は「俺の首にしっかり抱きついて」と言った。
ひまりが言われた通りにすると、突如視界が高くなった。
なにが起きたかわからず、咄嗟に高瀬にしがみつく。
ひまりは高瀬にお姫様抱っこされていた。
「歩いてすぐそこじゃないー!」
「してみたかったんだよねー、お姫様抱っこ」
ひまりの抗議を無視して楽しそうに笑う高瀬の顔は、高校生の時の彼を彷彿とさせた。
短い廊下を進み、ひまりを抱き上げたまま、高瀬は器用に寝室のドアを開けた。
初めて入る高瀬の部屋は、イメージ通り整然としていた。
ドアを閉めると、高瀬はひまりをベッドに寝かせた。
ひまりに覆いかぶさり、愛おしそうに見つめながら、ひまりの髪の毛を優しく撫でる。
ひまりも高瀬を見つめ、手を伸ばして彼の頬を撫でた。
高瀬の唇を、舌を、まるでそうすることが前から当たり前だったかのように迎え入れる。
キスがこんなにも気持ちのいいものだなんて、ひまりは知らなかった。
羽のような高瀬の指が、優しくひまりの体に触れていく。
触れられたところが、次々と熱を持っていくようにひまりは感じた。
「力抜いて……」
高瀬に言われ、体の力を抜くと、絡みつく舌を先ほどよりも心地よく感じるようになった。
夢見心地な時間がしばらく続き、ひまりがリラックスしたのを確認すると、高瀬が上体を起こした。
Tシャツを脱ぎ、程よく鍛えられた上半身を晒す。
ひまりの鼓動が速くなった。
息をつめて、その引き締まった体を見つめてしまう。
自分に見とれるひまりに気をよくした高瀬は、不敵に笑うと、ひまりの服に手をかけた。
思わず高瀬の手を押さえたが、抵抗虚しく、ひまりのカットソーとキャミソールはベッドの下に落ちた。
興奮と羞恥とでひまりの体が熱を帯びる。
「きれいだよ」
高瀬の言葉に、ひまりは頭がくらくらした。
なんて甘い声でささやくんだろう。
一度唇にキスをすると、高瀬はひまりの首や肩、鎖骨にキスを落としていった。
直に触れ合う肌から伝わる高瀬のぬくもりが、ひまりをとても安心させた。
次々と訪れる甘い刺激に酔っていると、いつの間にかブラジャーも外されていた。
高瀬の大きな手がひまりの胸を優しく包む。
しばしその感触を楽しんだ高瀬の手は、ひまりの胸の一番敏感なところにそっと触れた。
と同時に、片方は口に含まれる。
ひまりは身をのけぞった。
高瀬の指も舌も、これまでにないほど優しく触れているのに、ひまりの体をめぐる波はとてつもなく大きかった。
あまりの快感に、ひまりは切ない声を上げた。
高瀬がひまりの顔をのぞき込み、嬉しそうに「可愛い」と言った。
それだけでひまりの胸はいっぱいになり、甘く疼く。
高瀬がスカートに手をかけるのを、ひまりはもう止めなかった。
スカートも窮屈なストッキングも、はやく脱いでしまいたかった。
ひまりのそれらがベッドの下に消えると同時に、高瀬のチノパンも消えていた。
ボクサーパンツの下に隠れている彼の高まりに、自分が求められていることを強く実感し、ひまりの全身は喜びに震えた。
こんなことは初めてだ。
高瀬はひまりの右側に体を横たえ、ひまりを優しくのぞき込むと、再び唇を重ねた。
ひまりの太腿を、外側から内側に向かって、高瀬の手がゆっくりと撫でる。
そしてその手がひまりの脚の間の薄い布に到達すると、熱を帯びた彼の指が、同じく熱を帯びたひまりの中心に触れた。
高瀬に塞がれた唇の奥で、ひまりは声を上げ、腰を浮かせた。
彼の指が、優しく執拗にひまりのふくらんだ部分を刺激する。
ひまりは頭が真っ白になりそうだった。
思わず口からこぼれた「気持ちいい」という言葉は、最後の方は音にならなかった。
キスが深まり、高瀬の手がショーツの中に忍び込む。
ひまりの入り口を行ったり来たりしたその指が、するりと奥に入れられた。
反応を探りながら動くうちに、ひまりの感じやすいところを見つけると、一気に攻めたてる。
体に電流が流れたような衝撃の後、ひまりは波に飲み込まれた。
気づくと両脚をきつく締め、身をよじらせていた。
泣きそうになりながら高瀬にキスをせがむと、何度も優しく応えてくれる。
ひまりが落ち着いたのを見計らい、高瀬がひまりに覆いかぶさった。
胸元からお腹、脚へとキスが降りていき、ひまりを隠していた最後の一枚を脚から抜いた。
自然な流れで脚を左右に開かれ、ひまりは反射的にそこに手を重ねた。
高瀬は柔らかく微笑むと、ひまりの手に自分の手を絡め、ベッドに縫い付けた。
恥ずかしさで熱くなった中心に高瀬の唇が落とされ、舌が転がされる。
先程と同じような甘く激しい痺れが全身に広がり、瞬く間にひまりは達した。
もうなにがなんだかわからない。
立て続けにやってくる快感の波に、自分が自分でなくなってしまうようで、少し怖くなった。
今まで何回も男性と肌を合わせてきたが、こんな経験をしたことはなかった。
高瀬は上体をひまりに重ねると、ひまりの頬と髪の毛を優しく撫でた。
「ひまりと一つになりたい」
まるで祈るような切ない声で請われ、ひまりは胸を締め付けられながら頷いた。
ひまりの熱を帯びた部分も、切実に彼を求めていた。
高瀬は一度ひまりから離れると、彼を覆っていたものを取り去った。
ベッドサイドテーブルに手を伸ばすと、ひまりに口づける。
唇が触れ合う間、袋が破れる音が聞こえた。
ひまりを見つめる高瀬の目は怖いほど真剣で、それでいて愛に満ちている。
彼にすべてを差し出したい、とひまりは思った。
体から余計な力を抜き、ひまりを最大限気遣いながら身を沈める彼を受け入れる。
痛みはなく喜びだけが満ちていった。
彼のすべてを包んだとき、お互いの欠けていた部分が満たされ、在るべき形に還ったように感じた。
「ひまり……」
ゆっくりと動きながら名前を呼んだ彼の表情に、「ああ、私は愛されている」とひまりは思った。
これが愛を交わすということなのだと心から理解した。
愛されているし、私も彼を愛している。
だんだんと速く激しくなる律動の波に、ひまりは再び飲み込まれそうだった。
声を抑えることも、まともに息をすることもできない。
ここで理性を手放したら、むき出しの自分をさらけ出してしまうようで怖い。
でも、彼にならすべてを預け、委ねてもいいように思い、そうした。
その瞬間、ひまりの体を衝撃が貫き、悲鳴に近い声を上げたひまりは彼をきつく締め付けた。
彼は低いうめき声を上げると、余韻に導かれるように浅い動きを繰り返した後、ひまりを抱きしめた。
上がった息を整える間もなく、お互いを確かめるように何度も何度も唇を重ねる。
「愛してる」
そう言った高瀬の目は少し潤んでいるように見えた。
この上ない喜びがひまりのすべてを満たしていく。
「幸せ……」
ひまりの目から涙がこぼれた。
間髪入れず、ひまりを抱き寄せ唇を塞ぐ。
ひまりは鞄をおろし、高瀬の首に腕を回した。
キスがどんどん深くなっていく。
体から力が抜け、ひまりが立っていられなくなってきたとき、高瀬が尋ねた。
「僕の寝室、行きますか?」
目を合わせて頷くと、ひまりは高瀬の耳元でささやいた。
「敬語やめて……」
一拍おいて「わかった」と答えると、さらに高瀬は「俺の首にしっかり抱きついて」と言った。
ひまりが言われた通りにすると、突如視界が高くなった。
なにが起きたかわからず、咄嗟に高瀬にしがみつく。
ひまりは高瀬にお姫様抱っこされていた。
「歩いてすぐそこじゃないー!」
「してみたかったんだよねー、お姫様抱っこ」
ひまりの抗議を無視して楽しそうに笑う高瀬の顔は、高校生の時の彼を彷彿とさせた。
短い廊下を進み、ひまりを抱き上げたまま、高瀬は器用に寝室のドアを開けた。
初めて入る高瀬の部屋は、イメージ通り整然としていた。
ドアを閉めると、高瀬はひまりをベッドに寝かせた。
ひまりに覆いかぶさり、愛おしそうに見つめながら、ひまりの髪の毛を優しく撫でる。
ひまりも高瀬を見つめ、手を伸ばして彼の頬を撫でた。
高瀬の唇を、舌を、まるでそうすることが前から当たり前だったかのように迎え入れる。
キスがこんなにも気持ちのいいものだなんて、ひまりは知らなかった。
羽のような高瀬の指が、優しくひまりの体に触れていく。
触れられたところが、次々と熱を持っていくようにひまりは感じた。
「力抜いて……」
高瀬に言われ、体の力を抜くと、絡みつく舌を先ほどよりも心地よく感じるようになった。
夢見心地な時間がしばらく続き、ひまりがリラックスしたのを確認すると、高瀬が上体を起こした。
Tシャツを脱ぎ、程よく鍛えられた上半身を晒す。
ひまりの鼓動が速くなった。
息をつめて、その引き締まった体を見つめてしまう。
自分に見とれるひまりに気をよくした高瀬は、不敵に笑うと、ひまりの服に手をかけた。
思わず高瀬の手を押さえたが、抵抗虚しく、ひまりのカットソーとキャミソールはベッドの下に落ちた。
興奮と羞恥とでひまりの体が熱を帯びる。
「きれいだよ」
高瀬の言葉に、ひまりは頭がくらくらした。
なんて甘い声でささやくんだろう。
一度唇にキスをすると、高瀬はひまりの首や肩、鎖骨にキスを落としていった。
直に触れ合う肌から伝わる高瀬のぬくもりが、ひまりをとても安心させた。
次々と訪れる甘い刺激に酔っていると、いつの間にかブラジャーも外されていた。
高瀬の大きな手がひまりの胸を優しく包む。
しばしその感触を楽しんだ高瀬の手は、ひまりの胸の一番敏感なところにそっと触れた。
と同時に、片方は口に含まれる。
ひまりは身をのけぞった。
高瀬の指も舌も、これまでにないほど優しく触れているのに、ひまりの体をめぐる波はとてつもなく大きかった。
あまりの快感に、ひまりは切ない声を上げた。
高瀬がひまりの顔をのぞき込み、嬉しそうに「可愛い」と言った。
それだけでひまりの胸はいっぱいになり、甘く疼く。
高瀬がスカートに手をかけるのを、ひまりはもう止めなかった。
スカートも窮屈なストッキングも、はやく脱いでしまいたかった。
ひまりのそれらがベッドの下に消えると同時に、高瀬のチノパンも消えていた。
ボクサーパンツの下に隠れている彼の高まりに、自分が求められていることを強く実感し、ひまりの全身は喜びに震えた。
こんなことは初めてだ。
高瀬はひまりの右側に体を横たえ、ひまりを優しくのぞき込むと、再び唇を重ねた。
ひまりの太腿を、外側から内側に向かって、高瀬の手がゆっくりと撫でる。
そしてその手がひまりの脚の間の薄い布に到達すると、熱を帯びた彼の指が、同じく熱を帯びたひまりの中心に触れた。
高瀬に塞がれた唇の奥で、ひまりは声を上げ、腰を浮かせた。
彼の指が、優しく執拗にひまりのふくらんだ部分を刺激する。
ひまりは頭が真っ白になりそうだった。
思わず口からこぼれた「気持ちいい」という言葉は、最後の方は音にならなかった。
キスが深まり、高瀬の手がショーツの中に忍び込む。
ひまりの入り口を行ったり来たりしたその指が、するりと奥に入れられた。
反応を探りながら動くうちに、ひまりの感じやすいところを見つけると、一気に攻めたてる。
体に電流が流れたような衝撃の後、ひまりは波に飲み込まれた。
気づくと両脚をきつく締め、身をよじらせていた。
泣きそうになりながら高瀬にキスをせがむと、何度も優しく応えてくれる。
ひまりが落ち着いたのを見計らい、高瀬がひまりに覆いかぶさった。
胸元からお腹、脚へとキスが降りていき、ひまりを隠していた最後の一枚を脚から抜いた。
自然な流れで脚を左右に開かれ、ひまりは反射的にそこに手を重ねた。
高瀬は柔らかく微笑むと、ひまりの手に自分の手を絡め、ベッドに縫い付けた。
恥ずかしさで熱くなった中心に高瀬の唇が落とされ、舌が転がされる。
先程と同じような甘く激しい痺れが全身に広がり、瞬く間にひまりは達した。
もうなにがなんだかわからない。
立て続けにやってくる快感の波に、自分が自分でなくなってしまうようで、少し怖くなった。
今まで何回も男性と肌を合わせてきたが、こんな経験をしたことはなかった。
高瀬は上体をひまりに重ねると、ひまりの頬と髪の毛を優しく撫でた。
「ひまりと一つになりたい」
まるで祈るような切ない声で請われ、ひまりは胸を締め付けられながら頷いた。
ひまりの熱を帯びた部分も、切実に彼を求めていた。
高瀬は一度ひまりから離れると、彼を覆っていたものを取り去った。
ベッドサイドテーブルに手を伸ばすと、ひまりに口づける。
唇が触れ合う間、袋が破れる音が聞こえた。
ひまりを見つめる高瀬の目は怖いほど真剣で、それでいて愛に満ちている。
彼にすべてを差し出したい、とひまりは思った。
体から余計な力を抜き、ひまりを最大限気遣いながら身を沈める彼を受け入れる。
痛みはなく喜びだけが満ちていった。
彼のすべてを包んだとき、お互いの欠けていた部分が満たされ、在るべき形に還ったように感じた。
「ひまり……」
ゆっくりと動きながら名前を呼んだ彼の表情に、「ああ、私は愛されている」とひまりは思った。
これが愛を交わすということなのだと心から理解した。
愛されているし、私も彼を愛している。
だんだんと速く激しくなる律動の波に、ひまりは再び飲み込まれそうだった。
声を抑えることも、まともに息をすることもできない。
ここで理性を手放したら、むき出しの自分をさらけ出してしまうようで怖い。
でも、彼にならすべてを預け、委ねてもいいように思い、そうした。
その瞬間、ひまりの体を衝撃が貫き、悲鳴に近い声を上げたひまりは彼をきつく締め付けた。
彼は低いうめき声を上げると、余韻に導かれるように浅い動きを繰り返した後、ひまりを抱きしめた。
上がった息を整える間もなく、お互いを確かめるように何度も何度も唇を重ねる。
「愛してる」
そう言った高瀬の目は少し潤んでいるように見えた。
この上ない喜びがひまりのすべてを満たしていく。
「幸せ……」
ひまりの目から涙がこぼれた。