先生、迎えに来ました
4.今も好きです
同棲生活がスタートして数日が経った。
最初こそ緊張していたものの、順応性の高いひまりはすぐにこの生活を受け入れた。
高瀬が執事役に徹してくれていることも、大きく寄与していると思われる。
変に恋人のような振る舞いをされたり求められていたら、きっとひまりは逃げ出していた。
高瀬はただ静かにそこにいて、いつもひまりを優しく迎えてくれる。
毎朝目が覚めると、ご飯の炊けるいい匂いにつられて、身支度も整えずにひまりはリビングに行く。
「おはよー」と、ひまりが半分寝ぼけた声で言うと、「おはようございます」という爽やかな笑顔が返ってくる。
相変わらず、高瀬は寝起きのひまりを見るのが嬉しそうだ。
ひまりの寝起きの髪は最悪だ。
はねるしうねるし広がるしで、単に櫛でといたくらいではどうにもならない。
しっかりセットしたお出かけ仕様のひまりと、寝起きのひまりとのギャップに、見た目重視の元カレ数人は目に見えて幻滅した。
そのため高瀬にも寝起き姿を披露したのだが、なぜかとても喜ばれてしまった。
「一緒に暮らしてるって実感できて、とても嬉しいです」
「え、そういうもの?」
「はい。そんな無防備なひまりさんを見れるのは僕だけだと考えると、にやにやしちゃいますね」
「……顔洗ってくる」
作戦失敗に、ひまりはすごすごとリビングから退散した。
それ以来、ひまりは女としての気を抜いた状態で過ごしている。
あわよくば、そんなひまりに高瀬が幻滅してくれないものかと期待しているのだが、今のところ効果はなさそうだ。
高瀬にあえて自室に来てもらい、片付けのできていない部屋を見せたこともある。
床に広げられたスーツケースと、中に入ったままだったり、スーツケースからはみ出している衣類や生活用品。
ベッドの上には洗濯済みの衣類が散乱し、ベッドサイドテーブルには所狭しと物が並べられ、部屋の隅には仕事の書類が散らばっていた。
掃除は嫌いではないが、ひまりは片づけと整理整頓が圧倒的に苦手なのだ。
結婚前提でお付き合いしていた四人のうち三人は、ひまりの部屋に泊まりに来て明らかに引いていた。
「執事さんに、部屋の片づけをお願いしてもいいのかな」
高瀬に幻滅されることを願って、普段のひまりなら絶対に言わないであろうことを口にした。
ひまりの部屋の惨状を見て、高瀬は一瞬驚いたような表情を見せたものの、すぐにいつもの穏やかな顔に戻ると、ひまりに尋ねた。
「ひまりさんの物に、僕が触れてもいいですか?」
「……うん、大丈夫」
「じゃあ、任せてください。僕、整理収納アドバイザーの資格持ってるので」
「そんな資格まで持ってるの⁉」
ひまりの驚きをよそに、高瀬はテキパキと片づけを始めた。
ひまりが上手く活用できないでいたウォークインクローゼットに、次々と物が収められていく様は爽快で、ひまりはずっと高瀬の動きを見ていた。
あっという間に部屋は片づき、ひまりの部屋に平穏が訪れた。
「これからも、ご用命があればいつでも片づけますので」
「……ありがとう」
高瀬の爽やかな笑顔に、ひまりは何度目かの白旗を上げた。
最初こそ緊張していたものの、順応性の高いひまりはすぐにこの生活を受け入れた。
高瀬が執事役に徹してくれていることも、大きく寄与していると思われる。
変に恋人のような振る舞いをされたり求められていたら、きっとひまりは逃げ出していた。
高瀬はただ静かにそこにいて、いつもひまりを優しく迎えてくれる。
毎朝目が覚めると、ご飯の炊けるいい匂いにつられて、身支度も整えずにひまりはリビングに行く。
「おはよー」と、ひまりが半分寝ぼけた声で言うと、「おはようございます」という爽やかな笑顔が返ってくる。
相変わらず、高瀬は寝起きのひまりを見るのが嬉しそうだ。
ひまりの寝起きの髪は最悪だ。
はねるしうねるし広がるしで、単に櫛でといたくらいではどうにもならない。
しっかりセットしたお出かけ仕様のひまりと、寝起きのひまりとのギャップに、見た目重視の元カレ数人は目に見えて幻滅した。
そのため高瀬にも寝起き姿を披露したのだが、なぜかとても喜ばれてしまった。
「一緒に暮らしてるって実感できて、とても嬉しいです」
「え、そういうもの?」
「はい。そんな無防備なひまりさんを見れるのは僕だけだと考えると、にやにやしちゃいますね」
「……顔洗ってくる」
作戦失敗に、ひまりはすごすごとリビングから退散した。
それ以来、ひまりは女としての気を抜いた状態で過ごしている。
あわよくば、そんなひまりに高瀬が幻滅してくれないものかと期待しているのだが、今のところ効果はなさそうだ。
高瀬にあえて自室に来てもらい、片付けのできていない部屋を見せたこともある。
床に広げられたスーツケースと、中に入ったままだったり、スーツケースからはみ出している衣類や生活用品。
ベッドの上には洗濯済みの衣類が散乱し、ベッドサイドテーブルには所狭しと物が並べられ、部屋の隅には仕事の書類が散らばっていた。
掃除は嫌いではないが、ひまりは片づけと整理整頓が圧倒的に苦手なのだ。
結婚前提でお付き合いしていた四人のうち三人は、ひまりの部屋に泊まりに来て明らかに引いていた。
「執事さんに、部屋の片づけをお願いしてもいいのかな」
高瀬に幻滅されることを願って、普段のひまりなら絶対に言わないであろうことを口にした。
ひまりの部屋の惨状を見て、高瀬は一瞬驚いたような表情を見せたものの、すぐにいつもの穏やかな顔に戻ると、ひまりに尋ねた。
「ひまりさんの物に、僕が触れてもいいですか?」
「……うん、大丈夫」
「じゃあ、任せてください。僕、整理収納アドバイザーの資格持ってるので」
「そんな資格まで持ってるの⁉」
ひまりの驚きをよそに、高瀬はテキパキと片づけを始めた。
ひまりが上手く活用できないでいたウォークインクローゼットに、次々と物が収められていく様は爽快で、ひまりはずっと高瀬の動きを見ていた。
あっという間に部屋は片づき、ひまりの部屋に平穏が訪れた。
「これからも、ご用命があればいつでも片づけますので」
「……ありがとう」
高瀬の爽やかな笑顔に、ひまりは何度目かの白旗を上げた。