凪がくれた勇気
そして、そのたびに後悔に襲われた。

清凪(せな)くんの試合を観に行った日、
彼の連絡先を聞けなかった後悔に。

歩侑(ふう)
「もし数ヶ月前に”今の私”でいられたら…。」

後悔で胸が押しつぶされそうになるたびに、
私はある本の言葉を思い出した。

『人生は、今のあなたにとって必要な人に出逢う』

ともに歩む人、すれ違う人、一時慰め合う人、
そして、必要な何かをくれて去っていく人。

歩侑(ふう)
『きっと、清凪(せな)くんは私に”勇気”を運んでくれたの。』
『筆談しかできなかった私が変わる勇気を。』

もし私と清凪(せな)くんの間にそれ以上の縁があるなら、
きっとまた人生のどこかで逢える。

根拠なんて何もないのに、なぜかそんな気がする。
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