凪がくれた勇気
少年
『…。』

少年は何も言わずに
床に散らばった本を拾い集めてくれた。

歩侑(ふう)
「あ…あ…あり…!」
(ああもう!私のバカ!”ありがとう”でしょ!?)

お礼すら言えない自分がもどかしかった。

すると、彼は私が言いたいことを察したのか、
ニコリと笑いながら右手を左右に2回振った。



歩侑(ふう)
「…??」
(さよなら…かな?でも笑ってくれてるし…。)

私には彼の仕草の意味がわからなかった。

彼は本の片付けを終えて去っていった。
ジャージの背中にも「Japan」の文字が入っていた。

歩侑(ふう)
「”Japan”って…もしかして代表選手?」
「私と同い年くらいなのに、すごいなぁ…。」

その後、私は席に戻って読書を続けたが、
頭がボーっとして内容が入ってこなかった。
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