イケメン年下君がメロメロなのは、私って本当ですか?

3

蒼が連れてきてくれたのは、落ち着いた照明と木のぬくもりが心地いい、カフェ風のレストランだった。
肩肘張らずに過ごせそうで、でも安っぽさは一切なくて――まさに私の好み。

「……すごい!」
思わず声に出てしまう。

「よかった。真緒さん、こういう雰囲気好きかなって」
当たり前のように言う蒼。

「え、なんで分かったの?」
驚いて尋ねると、彼はにっこり笑って、少しだけ照れたように首を傾げた。

「見てれば、分かりますよ」

――っ!
その一言に、胸の奥がきゅっと掴まれる。
“見てれば分かる”って……私、そんなに鳴海くんに観察されてた?

「……そんなに頑張らなくても」
苦笑いを浮かべる私に、蒼は真顔で首を横に振る。

「頑張りますよ。だって、初めてのデートですから」

――ああもう、ストレートすぎる!

年下、しかも7歳も下。
そんな男子が、こんなにも真っ直ぐに、私を攻略しにきている。

嬉しそうに、子犬みたいに一生懸命で。

でも、あまりに一直線すぎて――

ふと、頭をよぎってしまった。

……まさか。
まさかね。

……まさか、こんなイケメンで、付き合ったことない……とか?

私の視線に気づいたのか、蒼がきょとんと首を傾げる。
「どうしました?」

心の声が漏れそうだ。
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